「びっくらこいた。こんな映画があるものかね」
「どこが凄い?」
「中身が抽象的過ぎて、意味が分からない客は寝るぞ。よくこんな映画作ったな、ディズニー。偉いぞ」
「誉めてるわけ?」
「誉めてる誉めてる」
「でも、寝る客がいる?」
「たぶん、大半の客は意味が分からないかもね。理屈で見ると負ける」
「結局、この映画は何を言っているんだ?」
「深刻な挫折。大人への階段。子供の卒業。子供時代の素晴らしい王国が1つ1つ崩壊していく。別の王国を心に築かなくてはならない。子供から大人になるためのプロセスだ」
「なるほど」
「抽象的な表現も凄いな。どんどんビジュアルが壊れていく。これも大胆すぎる描写だ。意味が分からない人は寝そうだがね」
「ひぇ~」
「ついでに、途中でロケットから降りてしまう奴は、まるでスタンレーの魔女だ」
「消えていいの?」
「いいのだ。あれは子供時代の夢であり、大人になれば消えるものだ。消えるからこそ、未来への希望を託すために身を犠牲にできる」
「他に何か?」
「エンディングが面白いね。特に猫の頭の中」
「猫はきまぐれか!」